くまにち メディカルインタビュー
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婦人編

2012/6/1掲載
 
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骨盤臓器脱に伴う排尿トラブル 技術の進歩で改善可能に
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
女性特有の病気「骨盤臓器脱」は、直接命に関わる病気ではないものの、「受診するのが恥ずかしい」という理由から、重症化してしまいがちなのだそうです。症状や治療法について、詳しく話を聞きました。

 ■「骨盤臓器脱」について、教えてください。
 骨盤臓器脱とは、子宮や膣、膀胱、直腸などが下がってくる病気です。これらの臓器を支える筋肉や靱帯が弱くなり、支えきれなくなることが原因で発症します。分娩の際に受ける筋肉や靱帯のダメージが影響すると言われていますが、まれに分娩の経験がない方でも発生することがあります。そのほか、おなかに力のかかる作業・仕事をしている方、高齢の方に生じやすいと言われています。

 ■どのような症状が表れるのでしょうか。
  相談に訪れる患者さんの多くが、「何かが下がってくる気がする」とおっしゃいます。下がってくる症状の感じ方は人それぞれですが、症状が軽い場合は、「違和感がある」「何かが触れる」という程度です。進行すれば、「股の間に挟まって歩きにくい」「出てきたところがこすれて痛い」「出血する」などの症状が出てきます。

 ■合併症の心配はありませんか。
 子宮や膣は膀胱と隣り合わせに位置しているので、骨盤臓器脱の患者さんには、排尿トラブルを抱えている方も少なくありません。「おしっこが出にくい」「トイレに行った後も残尿感がある」「トイレが近い」「おしっこが漏れる」という患者さんも多くいらっしゃいます。子宮や膣が下がってくることで、膀胱や尿道が変形してしまい、正常に尿の排出ができなくなってしまうのです。その結果、いくつかの症状が生じてしまいます。

 ■どのような治療を行うのでしょうか。
 主に、ペッサリーと呼ばれるリングを膣の中に入れる方法と、手術する方法とがあります。最近では、「メッシュ手術」という新しい手術法が導入されつつあるようです。これは、弱くなった筋肉や靱帯の代わりに、網状の補強材を膣の裏側に挿入する方法です。手術は短い場合は30分ほどで終わりますが、長いときは2時間半に及びます。

 ■メッシュ手術の利点・欠点について、教えてください。
 排尿トラブルの改善が期待できるという事です。約40人に1人が、術後に尿もれを生じてしまうという報告もあり、100%の改善が約束されるものではありませんが、同時に尿もれの手術を追加することで、この問題は解決できます。治療技術が進歩していることで、これまで難しかった排尿トラブルの治療も、可能になりつつあるのです。



 
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