くまにち メディカルインタビュー
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血管外科編

2012/3/2掲載
 
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中高年の女性に多い「下肢静脈瘤」 日帰り治療で患者負担を軽減
 
熊本血管外科クリニック 院長
宇藤 純一氏
脚の皮膚に静脈のこぶが現れる「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」。日本の患者数は軽症まで含めると、成人の約1割に上るそうです。症状や治療法などについて聞きました。

 ■下肢静脈瘤とは?
 脚の静脈の弁が壊れ、血液が逆流することによって起こる病気です。脚の皮膚がこぶのように膨らんだり、クモの巣状の静脈瘤が現れたりします。症状が進むとこぶが目立つようになり、うっ血やむくみ、痛み、かゆみ、皮膚の炎症などが起こることもあります。女性は男性の患者数の3倍といわれ、特に中年以降に多く見られます。

 ■静脈の弁が壊れる原因は?
 はっきりとした原因は解明されていませんが、立ち仕事や出産によって弁の機能に障がいが出る、遺伝などによりもともと弁が壊れやすい体質である―などが考えられます。

 ■どんな治療が行われますか?
 軽度の症状なら基本的に治療は必要ありません。こぶが気になるという人は硬化剤を注射して静脈を閉塞(そく)させる方法もありますが、うっ血症状がある場合には、再発が少ない「ストリッピング手術」がお勧めです。

 ■「ストリッピング手術」とは?
 ももの付け根とひざ下を小さく切開し、壊れた弁のある血管を取り除く治療法です。血管を取って大丈夫かと心配する人もいますが、機能不全を起こした静脈を取り除くことで、周囲のほかの血管の流れが良くなります。傷跡はそれほど目立ちませんし、程度によっては1カ所の切開で済む場合もあります。「こぶを気にせずスカートがはけるようになった」「脚が軽くなった」と喜ばれています。また、従来は全身麻酔や腰椎麻酔で1週間程度の入院が必要でしたが、複数の麻酔法の組み合わせにより、日帰りでの手術が可能になりました。手術には保険が適用されます。身体的にも、時間的にも、患者さんの負担はずいぶん軽減されたと思います。

 ■仕事で長期間の休みが取れないなど、これまでためらっていた人も安心して治療が受けられそうですね。
 手術時間は約1時間です。手術直後から自分で歩いたり、食事をしたりすることができます。脚に負担のかからないデスクワークなどであれば、数日後から仕事に復帰することも可能です。手術の1週間後に抜糸をしますが、来院が難しい場合は抜糸のいらない吸収性の糸で縫合する方法もあります。下肢静脈瘤は命に関わる病気ではないと軽視されがちですが、患者さん自身が病気のことを十分理解して、自分の生活に合った治療法を選択することが大切ですね。詳しくはご相談ください。



 
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