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慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務 |
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あまり耳にすることのない「子宮脱」「膣脱」「骨盤臓器脱」と呼ばれる病気。子宮や膣が下がってくる病気で、実際には多くの方が悩まれているそうです。詳しく話を聞きました。 |
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相談に訪れる患者さんの多くが、「股の間に何か挟まった感じがする」「何かが下がってくる気がする…」という悩みを抱えています。これらの症状は、「子宮脱」「膣脱」「骨盤臓器脱」などと呼ばれます。膣の裏側には、膀胱や直腸があるため、膣が下がってくると膀胱や直腸まで一緒に下がってくることもあります。 |
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膣の病気ではなく、子宮や膣を支える筋肉や靱帯が弱くなってしまうのが原因です。特にお産による筋肉・靱帯へのダメージが、大きく影響します。加齢も原因の一つで、30代・40代には症状が出ない人でも、50代以上になると筋肉や靱帯が弱くなり、今まで支えてきた子宮や膣を支えきれなくなります。このほか、農業や漁業など、お腹に力の加わる動作や立ちっぱなしの作業が多い方に比較的よくみられ、職業や生活パターンも影響していると言えるでしょう。 |
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この病気は直接命に関わるものではありません。程度が軽い場合は、日常生活に支障をきたすことも少なく、「朝起きた時は下がってきている感じはしないけれど、夕方頃から出てくる」「お風呂に入ると引っ込んでいくのですが…」という声を伺うこともしばしばです。治療を急ぐ必要はありませんし、患者さんには、「症状がつらいときが治療のタイミングです」とお伝えしています。 |
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■では、そこまで急いで治療する必要はないのですね。 |
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ただし、完全に子宮や膣が脱出している場合については注意が必要です。「完全脱出」は、股の間に肉の塊がぶら下がった状態になっていて、俗に「ナスビ」とか「ヘチマ」と言われます。この状態は、股に挟まった感じがして不快感が強く、脱出した部分がこすれて出血を起こしたりします。また、隣接する膀胱も引っ張られて下がってくるので、膀胱自体がかなりいびつに変形してしまいます。その結果として、スムーズに尿が出なくなります。ひどい人は、自力で尿がほとんど出せなくなり、膀胱に管を入れっぱなしにしなければいけません。排尿が滞ると、尿を産生している腎臓に負担がかかります。排尿障害が著しい方の場合、腎臓の機能低下も同時に引き起こすことがあるので、注意が必要です。 |
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