くまにち メディカルインタビュー
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婦人科編

2010/7/16掲載
 
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骨盤臓器脱と呼ばれる子宮脱 有効な治療法のひとつ「TVM」
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
分娩(ぶんべん)や加齢、力仕事などが原因で引き起こされる「子宮脱(しきゅうだつ)」。あまり聞き慣れない病気かもしれませんが、一般の認識以上に多くの女性が悩まされているそうです。詳しく話を聞きました。

 ■子宮脱とは、どのような病気ですか?
 正式には「骨盤臓器脱」と呼ばれるもので、子宮や腟、ぼうこう、直腸などが下がり、腟の入り口から出てくる病気です。お産で筋肉や靱帯(じんたい)がダメージを受け、子宮が下がってくることもありますが、多くの場合は60代以上の女性にみられる現象です。

 ■どのような自覚症状があるのでしょうか?
 「股に何か挟まった感じがする」「腟に何か触れる」という症状が多いようです。中には、出てきた腟がこすれて痛みを生じたり、腟が傷付き出血したりします。尿もれや頻尿などの症状を伴うこともあります。命にかかわる病気ではありませんが、症状による不快感が強いあまり、気分が落ち込み、外出がおっくうになる方もいらっしゃいます。

 ■治療法を教えて下さい。
 最近導入された「メッシュ手術」があります。これはポリプロピレンと呼ばれる物質でできた網状の補強材を、腟の裏に埋め込む手術法です。昨年、国内の手術数が1万人を超えたと言われるほど医療機関でも取り入れられ、今年4月には健康保険の適用が認められました。

 ■「メッシュ手術」は、いつごろから導入されているのですか?
 この手術はTVM(tension‐free vaginal mesh)手術と呼ばれ、2000年にフランスの医師チームが開発したものです。日本では2005年に導入されました。他の手術法では腟が短く狭くなるので、性生活に支障を来していましたが、TVM手術ではそれがありません。また、再発率が低く、入院期間も短くて済みます。

 ■利点が多い治療法なのですね。
 メッシュ手術は今後、普及が進む手術法と思われます。しかし、子宮だけ下がり、腟は下がっていない患者さんにはメッシュ手術の効果は期待できないという欠点もあります。この場合は、子宮を摘出し腟を縫い縮める手術や、手術を行わず、専用の器具を腟に挿入して子宮や腟が下がってこないような処置を施します。患者さんの病状だけでなく、年齢、性生活の有無などいくつかの要因も検討した上で治療方針を決定しなければいけません。子宮脱の治療はメッシュ手術で一律に解決できるものではないのです。



 
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