くまにち メディカルインタビュー
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神経内科治療最前線 脳梗塞(こうそく)

2009/12/12掲載
 
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脳梗塞の緊急治療薬「t‐PA」
 
医療法人社団 知新会 西村内科脳神経外科病院 院長
吉本 幸生氏
突然、起こる脳梗塞。治療が遅れると、後遺症が残る場合や命の危険もあるそう。そこで、脳梗塞の新しい薬「t‐PA」について伺いました。

 ■t‐PA(ティーピーエー)という脳梗塞の特効薬があると聞きました。どんな薬でしょうか?
 脳梗塞の急性期治療に使用する薬です。tissue(組織)、Plasminogen(プラスミノーゲン)、 Activator(活性化させる薬)の頭文字で表しています。プラスミノーゲンとは、血を溶かす成分です。脳梗塞の原因である血栓(血の塊)を溶かしてしまう非常に強力な作用を持っています。

 ■効用や副作用は?
 国内の臨床試験では、使用しない人より、使用した人の方が2倍近く通常の生活に戻れたという結果が出ています。大変有効な薬と言えますが、一方で、出血を起こしやすいという大きな副作用もあります。

 ■脳梗塞になったら、誰もが使用できるのですか?
 副作用も大きいため、厳格な使用制限があります。基本は脳梗塞が起こってから治療が開始されるまナ3時間以内でないと投与できません。病院を受診されてから t‐PAの投与まで、画像診断(CTやMRI検査)、病状説明、家族の同意、薬の準備などで1時間くらいはかかります。ですから、実際は脳梗塞が起きてから2時間以内に受診されないと使用困難と言えるでしょう。

 ■どんな症状があれば、脳梗塞を疑った方が良いですか?
 急に片方の手足がしびれる、片方の手足に力が入らない、ふらついてまっすぐ歩けない、めまいがする、物が二重ノ見える、言葉が出てこない、言葉が理解できないなど、突然起こる症状が判断のポイントです。病院を受診する際は、このような症状が起きたばかりであることをあらかじめ電話で連絡してから来院されることをおすすめします。

 ■t‐PAはどんな病院でも使用できるのでしょうか?
 副作用を少なく、有効に投与するためには、医師やスタッフが厳格な適用基準を守り、なおかつスピーディーな検査ができ、薬の使用法に慣れている必要があります。そのため、t‐PA使用に関する講習会を受けた医師やスタッフがいる病院でしか投与できません。脳梗塞が心配な方は、かかりつけの病院が、いざという時にt‐PAを使用できる病院であるかどうか、事前に確認されることをおすすめします。



 
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