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医療法人社団順幸会 阿蘇立野病院 院長
上村 晋一氏
日本医療・環境オゾン研究会理事
日本外科学会認定外科専門医 |
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健康維持や病気の治療に関して、人体が本来持っている免疫力や自然治癒力が大事なことは、よく聞くところです。最近、自然治癒力を高めるための治療として注目されているオゾン療法について聞きました。 |
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オゾン層やオゾンホールなどの言葉で知られるように、成層圏のオゾン(O3)は、地球を有害な紫外線や宇宙線から守る働きをしています。オゾンは周囲の物質に対して強力な酸化作用があることから、その特性を生かして消毒・殺菌・脱臭などに活用されています。また、生成後は化学変化で自然と酸素に戻るため残留性はありません。身近なところでは家電製品にオゾンが使用されており、東京都が水道の浄化システムにオゾンを採用して水がおいしくなったことも話題になっています。 |
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1915(大正4)年に、ドイツでオゾンガスが医療に応用されたのが始まりで、現在ではオーストリア、イタリア、フランスなどヨーロッパを中心に広く医療に取り入れられています。日本でも1923(大正12)年に、当時の九州帝国大学でオゾンガスを使用した治療が開始されましたが、第二次大戦の影響でやむなく研究や治療が停滞したため、オゾン療法は最近まで一般にはあまり、なじみがありませんでした。 |
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オゾン療法とは、低濃度のオゾン酸素ガスを使用することで生体反応を起こし、治癒へと誘導する治療法の総称です。具体的には「大量自家血オゾン療法」をはじめ、オゾン水を使った消毒やオゾンオリーブ油を使用した創傷治療などがあります。大量自家血オゾン療法は、自分の血液を100ミリリットル採取して、生成したオゾン(20〜40ppm)50ミリリットルと反応させた後、再び点滴で体内に戻す方法で、治療時間は約20分で済みます。ほかにも「オゾン皮下注射療法」「オゾン注腸療法」等があり、いずれも患者さん個人が有する自然治癒力を高めるための手段の一つと考えています。 |
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オゾンというと山や森の健康的なイメージがあるので、最近では難病から美容まで何にでも効き目があると宣伝されたりしています。しかし、一定濃度以上のオゾンガスは生体に悪影響を及ぼすため、治療に使用されるのは、あくまで低濃度オゾン酸素混合ガスです。また、直接、血管内に注入するようなものではありません。甲状腺機能亢(こう)進症など行ってはいけない疾患もあり、治療を受ける場合は自由診療となりますので、詳しくは医師までご相談ください。 |
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