くまにち メディカルインタビュー
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婦人科最前線 進歩する不妊治療

2009/9/12掲載
 
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多胎妊娠を防ぐ「胚盤胞移植」とは
 
ART女性クリニック院長
小山 伸夫氏
日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。
日本内視鏡外科学会技術認定医。
日本臨床細胞学会細胞診専門医、指定医。
体外受精の増加に伴う多胎妊娠が問題視され、それを予防する「胚盤胞移植」という方法が注目されています。その詳細を聞きました。

 ■多胎妊娠の原因とされる体外受精は増えているのですか?
 はい。晩婚化による結婚年齢の上昇などに伴い、不妊症のカップルが増え、不妊治療を希望される方々も年々増加しています。不妊治療では、一般の治療ではなかなか妊娠が難しいと判断された場合、治療のステップアップにより、最終的には「体外受精」を行うことになります。現在わが国では、57人に1人は体外受精で生まれていると報告されており、この数字は、今後もさらに増加していくと予想されますね。

 ■なぜ「多胎妊娠」(双子など複数の赤ちゃんが宿ること)が問題視されるのでしょうか?
 体外受精の増加によって多胎妊娠が増加する一方で、早産未熟児や低出生体重児などを集中的に管理・治療するNICU(新生児集中治療室)は、どこも満床状態が続いています。体外受精による多胎妊娠が増えることにより、このNICUの満床状態に拍車がかかってしまうことが問題とされているのです。日本産科婦人科学会ではこれを受けて、昨年4月に体外受精胚移植の際に移植する胚を、以前の3個から原則として1個に減らし、多胎妊娠を防ぐということが定められました。

 ■しかし、移植する胚の個数を減らすと、妊娠率が低下してしまうのではないでしょうか?
 そうですね。そこで、胚を5日間培養し、着床直前の胚である胚盤胞を1個胚移植するという「単一胚盤胞移植」が開発されました。この方法だと、ほとんどが単胎妊娠で、しかも妊娠率も1回の胚移植あたり40%台が期待できるということで大いに注目されています。

 ■「胚盤胞移植」には、リスクが伴うのでしょうか?
 胚盤胞移植の問題点は、胚を長期間培養するので、途中で発育が停止する胚が出現し、約50%しか胚盤胞になるまで育つことができません。そのため、採卵した卵の数が少ない場合は、胚移植ができないこともあります。また、1個だけ胚盤胞移植をしても、まれに1卵性双胎になることもあります。不妊治療に関する技術は日々進歩しています。「胚盤胞移植」について、詳しく知りたい方は、お気軽に専門医にお尋ねください。



 
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