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医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 顧問
小川 尚氏
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食事の味が分からなくなったり、以前と違って感じたり、あるいは口に何も入っていないのに苦く感じることはありませんか? 味覚障害の原因と治療方法について詳しく伺いました。 |
■最近味が分からないと感じる人が増えているそうですね。 |
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日本では、毎年24万人の人が味覚障害にかかっていると言われています。特に55歳以上の女性に多いため、年齢とともに味覚も弱ってくると思われがちですが、若い人にも味覚障害が見つかっています。 |
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年齢によって多少原因は変わりますが、高齢者では、孤食などによる野菜中心の偏食や成人病に対する治療薬の副作用などがあります。若い人では、インスタント食品やコンビニ弁当の頻用、無理なダイエットなどが挙げられます。いずれも亜鉛の欠乏によるもので、野菜には亜鉛が少ないこと、ある種の治療薬や保存食品に含まれる一部の添加物には亜鉛の吸収を妨げる作用があるためと考えられています。 |
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味の刺激を受け取るのは舌や口蓋の味蕾(みらい)にある味細胞で、この寿命は10日ですが、盛んに再生が起こっています。味細胞の再生には、亜鉛が重要な関わりをもっていて、亜鉛が不足すると古い味細胞を長く使用することになり、味覚障害が起こると考えられています。また、味蕾を保護する唾液が不足しても味細胞の再生が妨げられます。味細胞の遺伝子に異常が起こると、甘いものでも苦く感じたり、口の中に何も入っていないのに苦く感じたりするのです。 |
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味覚障害の原因となっている食生活の改善、味覚障害を引き起こす副作用の疑いのある薬剤を他の薬に替えることや亜鉛の服用などを行います。ただ、処方されている薬剤は理由があって選択されているので、容易に変更できるものではありません。発病からの期間が短い時は、これらの治療だけで2〜3カ月で治ることもありますが、発病から何年も経っている場合は、治療が困難になってきます。唾液分泌不足で口が乾いている人には、唾液分泌の促進をして味覚の回復を促します。全身病の一環として味覚障害が起こっているケースもありますので、原因疾患の治療等も必要になります。家族や友人との楽しい食事のひと時を心から楽しめないという方は、早めに専門医に相談することをお勧めします。 |
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