くまにち メディカルインタビュー
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大腸・肛門科最前線 早期発見・早期治療

2009/7/25掲載
 
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放っておくと怖いおしりの病気
 
特定医療法人社団 高野会 高野病院会長
高野正博氏
お尻の病気は、男女を問わずなかなか受診しにくいものです。しかし、小さなサインを見逃してしまうと命にかかわる場合もあるそうです。悪化する前の早期発見・早期治療で快適な毎日を過ごしたいですね。

 ■お尻の病気は、やはり受診をためらう人が多いのですか?
 「治療が痛いのでは」「恥ずかしい」「命にかかわる病気ではないだろう」「仕事が忙しい」などの理由で、中には10年から20年も我慢して市販薬などでしのいでいる方があります。しかし、慢性的な痛みや不快な症状は日常生活の質を著しく低下させ、結果的に仕事や家事に悪影響を及ぼします。何より、自己判断で重大な病気を見逃してしまう危険性があるのです。

 ■重大な病気のサインとは?
 便に血が混じっていたら要注意です。鮮血の場合は痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)などが疑われます。「たかが痔だから」と軽視しないことです。痔核で出血が続くと貧血による体力低下を招き、動悸、息切れ、めまい、ふらつきなどが表れます。もし、車の運転中や道路横断中にこのような症状が出ると大変危険です。女性に多い裂肛は、悪化すると痛みがひどくなったり肛門が狭くなって便が出にくくなったりします。男性に多い痔ろうは、化膿や腫れが悪化して痛みが増し便が出にくくなり、10年以上放置するとがん化の恐れも出てきます。

 ■痔の疾患でない場合は?
 出血が赤黒い血の場合、大腸がんの可能性があります。大腸がんは男女ともに急増していますが、初期では自覚症状がほとんどなく、痔の病気だと思い込んで受診が遅れることが多いのです。大腸がんのうち直腸がんは便の周りに血が付いていたら要注意ですが、最初はごくわずかな出血なので、なかなか気づきません。直腸よりさらに上の結腸がんでは、大腸の右半分と左半分で症状が異なります。右半分の場合は出血で黒っぽい便が出たり、腹痛・悪心(吐き気)・嘔吐などの腹部症状が見られることがあります。肛門に近い左半分の場合、がんがある程度大きくなると通過障害が起こり、便が出にくく細くなります。いずれも毎日、トイレで便に血が付いていないか混じっていないかを観察し、定期的に便潜血検査を受けることをお勧めします。

 ■ほかに出血やお尻の症状から見つかる難病があるそうですが。
 まれに大腸の粘膜が炎症を起こす潰瘍性大腸炎は出血の症状が見られますし、若い人に多く発病するクローン病は肛門部の病変が見られることも多く、どちらも原因不明の難病に指定されています。いずれにしろ出血は病気のサインです。決して見過ごさず専門の病院で早期発見・早期治療すれば、治療も患者さんの負担も軽くて済みます。



 
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