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医療法人社団 知新会 西村内科脳神経外科病院 院長
吉本 幸生氏
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高齢になると、手にしびれを感じる人も少なくありません。そのうち治るだろうと、簡単に考えてしまいがちですが、そのまま放っておくと重大な病気になる恐れもあるそうです。原因と対策について聞きました。 |
■手のしびれの中には、重大な病気につながる疾患もあるそうですね。 |
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はい。首の病気と脳の病気が挙げられます。首の病気とは、「頚椎(けいつい)症性脊髄(せきずい)症」、脳の病気は「脳卒中」のことです。 |
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首の骨の異常が脊髄を圧迫したときに起こります。片手または両手がしびれる症状から始まり、悪化すると歩行困難になったり、排尿・排便に障害が出る場合もあります。また、上を向いたときにしびれを強く感じるのもこの病気の特徴です。症状が悪化すると、寝たきりになってしまうこともあるんですよ。 |
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脳の中には感覚をつかさどる視床(ししょう)という場所があります。この視床で出血や梗塞(こうそく)が起こると手がしびれます。一般に脳卒中と聞くと、体が麻痺(まひ)したり、倒れたりするイメージがあると思いますが、手のしびれは小さな出血や梗塞で起こります。また、脳の視床部分で脳卒中が起こると、脳の他の部分でも脳卒中が起こる可能性があります。しびれだけなら日常の生活にさほど大きな支障はきたしませんが、このサインを見逃してしまうと、大きな出血や梗塞につながる可能性が高いといえるでしょう。しびれは重大な病気の危険を知らせるシグナルと考え、早めに対処することが大切ですね。 |
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どちらの病気も検査をすることで簡単に発見することができます。「頚椎症性脊髄症」は頚椎を、「脳卒中」は脳のMRIを撮ります。 |
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「頚椎症性脊髄症」の場合、まずは理学療法や内服治療を行います。それでも症状が改善しない場合、整形外科の手術をお薦めします。「脳卒中」の場合は再発を予防することが大切です。生活習慣の改善指導により、高血圧などの危険因子の除去を行います。さらに脳梗塞の場合は、血液をサラサラにし、循環を良くする薬を使用します。いずれの場合も早期に発見することで、重度の障害や寝たきりなどを予防することができます。単なる手のしびれと速断せずに、まずは専門医で受診しましょう。 |
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