くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科最前線 骨盤臓器脱(子宮脱)

2009/1/23掲載
 
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子宮や腟、膀胱、腸が下がる病気 子宮・腟切除手術からメッシュ手術へ
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
子宮脱は、症状がさまざまなことから骨盤臓器脱という呼ばれ方へと変わり、新しい手術法も導入されつつあります。病名があまり知られていない一方で、実際に骨盤臓器脱で悩む女性は少なくないそうです。骨盤臓器脱について伺いました。

 ■骨盤臓器脱(子宮脱)について教えて下さい。
 「下がってくる感じがある」「腟から何かが出てきている」「股の間に何か挟まった感じがある」などの症状は、子宮が下がる病気「子宮脱」が原因のことがあります。ところがこの病気では、子宮はさほど下がっていないのに腟だけが下がる、ということもあります。腟が下がると、腟と隣り合わせにある膀胱や腸も下がってきます。進行すると子宮も腟も全部が出てきます。つまり患者さんによって病状はさまざまで、子宮脱という言葉が必ずしも当てはまらないのです。子宮脱など従来の病名に代わり、最近では骨盤臓器脱という病名が使われるようになりました。

 ■子宮の病気から生じるのでしょうか。
 この病気では、子宮自体が悪くなっているわけではありません。子宮や腟を支えている筋肉や靱帯が損傷されたり、加齢によって弱くなったりして生じるのです。

 ■治療はどのように行われますか。
 この病気の治療法には、腟の中にリングを入れる方法と手術があります。手術については、これまで多くの方法が考案されてきました。現在日本で一般的に行われているのは、お腹を開けずに腟の方から子宮を摘出し、伸びきった腟を一部切除して縫い縮める方法です。この手術は約1時間半の所要時間で、入院に10〜14日間を要します。腟の下がってくる感じがなくなるため患者さんに喜ばれており、特に再発が多いという印象もありません。この方法とは別に、最近はメッシュ手術が導入されてきています。これは、人工的に合成された網を腟壁に縫いつける方法です。骨盤臓器脱は、ヘルニア、つまり外科の脱腸のような病気です。脱腸はお腹の壁が弱くなって腸が出てくる病気で、外科ではこの弱くなったお腹の壁に人工的な網を縫いつけて、壁を補強します。骨盤臓器脱にこれを用いたのが、メッシュ手術です。

 ■メッシュ手術はいつごろから導入されているのでしょうか。
 この手術はTVM(tension‐free vaginal mesh)手術と呼ばれ、2000年にフランスの医師チームが開発したものです。日本では2005年に導入されました。従来の手術法に比べて再発率が低く、入院期間も短くて済みます。従来の手術法では腟が短く狭くなるものですから、性生活に支障を来していましたが、TVM手術ではそれがありません。患者さんにとって有益な点が少なくないため、今後広まっていくと思われます。



 
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