くまにち メディカルインタビュー
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内科編

2017/5/26掲載
 
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がん細胞に効果的な樹状細胞ワクチン療法 少量の採血と皮内注射で患者の負担軽減へ
 
グレースメディカルクリニック 院長
伊藤 信久氏
がんと診断されたときの標準治療としては現在、「手術」「抗がん剤」「放射線」が行われています。しかし、これらの治療で副作用に苦しむ人も少なくありません。副作用がほとんどなく、標準治療と併用することで高い効果を発揮するといわれる免疫療法について話を聞きました。

 ■免疫療法とはどのようなものですか。
 自分自身に元から備わっている免疫力を高めることで、がんの予防や進行を防ぐという治療法です。従来行われている標準治療だと、がんの部位や進行度によって限定されますが、免疫療法は部位や進行度に関係なく試す価値があるといわれています。

 ■免疫療法である樹状細胞ワクチン療法について教えてください。
 自分の血液から細胞を取り出して増殖・培養させてワクチンを作り出します。従来行われていたアフェレーシスという方法では、3〜5時間かけて患者さんから5ℓ程度成分採血していましたが、新しい技術では25mlほどの採血で増殖・培養が可能になりました。採血後約2週間かけて多価樹状細胞ワクチンを製造し、その後、がんの患部に関連するリンパ節近くに皮内注射することで、体内で治療効果を発揮します。患者さん一人一人のがんに合わせてワクチンを作るので、副作用もほとんどありません。

 ■どうやってがん細胞を死滅させるのですか。
 がん細胞は細胞表面に多種類の目印(ペプチド)を持っています。司令塔となる樹状細胞が、ペプチドを攻撃役の免疫細胞(キラーT細胞)に覚えさせ、ペプチドを持つがん細胞を攻撃します。さらに、自然免疫を強化する活性NK細胞療法を組み合わせて、異なる2つの免疫系に同時に働きかけることで、相乗効果が期待できます。抗がん剤や放射線治療などの標準治療との併用も可能です。

 ■免疫療法はQOL(生活の質)が低下しない治療法と聞きました。
 アフェレーシスでは、数時間かかる大量の採血が2週間ごとに必要だったため、患者さんの精神的・体力的な負担が大きくなっていました。しかし、樹状細胞ワクチン療法では、ワクチンを作り出すための採血は少量でよく、約2週間後のワクチン投与も短時間で済むので、患者さんの負担も軽くなりQOLを保てる治療法といえるでしょう。進行性や末期がんの患者さんにも効果が期待でき、再発・転移の予防にもつながるといわれています。治療費は1回ごとに支払えるので、金銭面での負担も軽減されます。抗がん剤による吐き気や抜け毛といった悩みで苦しんでいる人には、一度試していただきたい治療です。自費診療になりますので、詳しくは専門医にお尋ねください。



 
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