くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科編

2016/7/1掲載
 
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陣痛による痛みを軽減する「無痛分娩」 出産直前に麻酔を注入することも可能
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
お産に対する恐怖心や痛みから、経産婦であっても出産をためらう女性は少なくないそうです。そこで、「無痛分娩」について話を聞きました。

 ■無痛分娩について詳しく教えてください。
 陣痛による痛みやストレスを和らげる分娩法を、無痛分娩といいます。日本では多くの場合、硬膜外麻酔を使って下半身の痛みを麻痺(まひ)させます。腰に細いチューブを挿入し、そこから麻酔薬を注入する方法で、注入後、10分ほどたつと陣痛の痛みが和らいできます。麻酔を打つことで「意識がなくなってしまうのではないか」と心配する方もいますが、この麻酔は打っても意識がはっきりしているんですよ。足をつまんでも痛みは感じなくなるなど、おへそから下の感覚は鈍くなりますが、上半身の感覚には影響しません。いつも通り腕を動かすことができるので、生まれた赤ちゃんを抱っこすることもできます。

 ■無痛分娩を選択する方の割合はどのくらいでしょうか。
 現在、アメリカでは約60%、フランスでは約80%の妊婦さんが無痛分娩を選択するといわれています。一方で、日本は2〜3%と少数派。日本で無痛分娩が普及しない理由として、次のような考えが挙げられます。「麻酔を入れる時、痛そうで怖い」「赤ちゃんに悪影響がないか心配」「お腹を痛めて産んだほうが、赤ちゃんに対する愛情が湧く気がする」「痛みに耐えなければ、母親として失格と周囲から言われてしまいそう」。実際はそうでない部分も少なくないのですが、妊婦さんが不安を感じて無痛分娩に踏み込めない現実もあります。また、産科施設としても、麻酔管理まで担うのには負担があり、導入しづらいようです。

 ■自然分娩か無痛分娩かは、どの段階で決める方が多いですか。
 分娩法で悩んでいる妊婦さんの中には、陣痛室に入ってからも結論が出せない方がいらっしゃいます。このような方の多くは、陣痛が強くなってくると無痛分娩に切り替えられます。自然分娩の場合は、ほとんどの方が陣痛が始まった時点で自然分娩希望を表明されます。病院によっては無痛分娩を予約制にしているところもありますが、妊婦さんが無痛分娩を希望された時点で対応してくれる病院もあります。例えば、子宮口が全部開いて、あと1時間で赤ちゃんが生まれそうな段階で無痛分娩を希望される方もいらっしゃいますが、そのような状態でも、妊婦さんのご希望が強ければ麻酔を注入することが可能です。「次も産みたい」と思えるようなお産になるかどうかは、分娩の中でも特に、最終局面でのストレスが関係するといわれています。無痛分娩は、赤ちゃんが生まれる瞬間を、妊婦さんが心に余裕をもって迎えられる助けになるといえるでしょう。



 
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