くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科編

2016/5/6掲載
 
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女性特有の病気「骨盤臓器脱」 症状が悪化する前に早めの受診を
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
あまり知られていない「骨盤臓器脱」という病気。子宮や膣が下がってくる病気で、実際には多くの女性が悩んでいるそうです。症状や治療法について詳しく聞きました。

 ■「骨盤臓器脱」とは、どのような病気ですか。
 子宮を支えている筋肉や靱帯(じんたい)が緩むことで、子宮、膣、膀胱(ぼうこう)、腸などが下がってくる病気です。以前は、「子宮脱」「膣脱」「膀胱脱」などと呼ばれていました。最初に表れる症状は、陰部や股間に違和感が生じる程度です。続いて、「股間に何かが挟まっているような気がする」「ピンポン玉のような丸いものが出てきた」といった、突出感を覚えるようになります。この段階では、夕方以降に症状が出るものの、朝は症状が出ないというケースが多いです。しかし、進行していくうちに、テニスボールサイズの肉の塊が、常に股間に挟まっているような感覚になります。このレベルになると、歩くことに支障を来し、外出することがおっくうになってしまいます。落ち込んで、鬱(うつ)状態に近くなる患者さんもいます。また、膀胱が下がってくると「尿が出にくい、近い、漏れる」といった泌尿器症状や、便秘の症状を伴うこともあります。

 ■どれほどの女性が、これらの症状を持っているのでしょうか。
 当院で以前、5000人以上の女性を対象にアンケート調査を行ったところ、60歳以上の5%〜6%が「骨盤臓器脱」の症状を持っていることが分かりました。今まであまり知られていない病名でしたが、前記のような症状で悩みを抱えている女性は、意外に多くいらっしゃるのです。60歳以上に限らず、お腹に力のかかる作業をする人や肥満・便秘がちな人、呼吸器疾患により慢性的に咳をする人なども生じやすいといわれています。

 ■治療法について、詳しく教えてください。
 軽症の場合は、「骨盤底筋肉体操」や薬などで治療します。重症ならば手術が必要です。日本では「TVM手術(メッシュ手術)」という治療法が2005年に導入され、主流になりました。この治療法は産婦人科に限らず、泌尿器科でも受けられます。他にもさまざまな治療法があり、診療科によって対応は異なります。患者さんの症状の進行度・体調や、個々の医師の治療方針の違いによって、同じ産婦人科の中でも治療法が異なることがあります。いずれにしても、症状を軽減・除去する効果は共通しています。この病気は治療によって改善し、不快感を取り除くことができるので、症状でお悩みの方は「年だから仕方がない」などと諦めたり一人で抱え込んだりせず、早めに受診し、相談されることをおすすめします。



 
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