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慢性副鼻(び)腔(くう)炎は早期治療が大切 切開しない内視鏡手術で病変を除去 |
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朝日野総合病院 常任顧問
湯本 英二 氏
日本耳鼻咽喉科学会専門医、熊本大学名誉教授、前熊本大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科教授 |
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長期的に鼻づまりなどが続く慢性副鼻腔炎の治療では、切開せずに内視鏡を用いて行う手術が主流になっているそうです。症状や手術の詳細などについて聞きました。 |
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副鼻腔炎とは、顔や頭の骨の中に形成された副鼻腔と鼻腔間を連結している部分から炎症が広がって起こる病気です。細菌やウイルスなどに感染して炎症を起こし、粘膜が腫れ、副鼻腔にうみがたまることで、鼻づまりや頭痛などさまざまな症状が引き起こされます。その中で、風邪などに伴い、細菌感染によって急性の炎症が起こる場合を急性副鼻腔炎といい、どろっとした黄色や緑色の鼻水が出たり、痰(たん)が出たりします。また、アレルギー性鼻炎を患い、症状が重症化したり長期にわたったりする副鼻腔炎を生じることもあります。 |
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たいていは薬物治療や鼻ネブライザーなどで経過を見ますが、症状が3カ月以上続く慢性副鼻腔炎(蓄のう症)になると、手術することもあります。手術は鼻の中で行う内視鏡手術なので、切開による大きな傷をつくらずに済みます。 |
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鼻に外径4oの内視鏡を挿入し、モニターに映し出された鼻内部の映像を見ながら、病変を探します。そして、炎症を起こしている粘膜や副鼻腔の骨を取り除き、副鼻腔と鼻腔間の通りを良くすることで、症状を改善します。手術時間は人によって差はありますが、30分から長くて2時間程度を要します。術後は鼻の中にかさぶたができるので、鼻洗浄などをしながら経過を見ていきます。ほとんどの場合、3カ月ほどで粘膜がきれいに再生します。 |
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副鼻腔は薄い骨の壁を介して目と脳に接しています。そのため、症状を自覚したまま放置すると、まれに目や脳に進行し、合併症を誘発することがあります。例えば目に症状が及ぶと、まぶたが腫れたり、目の動きが悪くなったり、最悪の場合は失明に至る恐れがあります。また、脳に進行すると、脳の中に膿瘍(のうよう)を形成し、硬膜下膿瘍や髄膜炎を発症することもあります。 |
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そうですね。ただし、高齢の患者さんで、高血圧や糖尿病などの合併症を伴っている場合は、手術のリスクが高くなります。異常を感じたら、全身の健康状態などをしっかり専門医と相談しながら、早めの治療を心がけましょう。 |
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