くまにち メディカルインタビュー
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眼科編

2014/11/28掲載
 
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自覚症状なく進行する糖尿病網膜症。低血糖値を保ち定期的に眼科で検査を
 
岩上眼科 院長
岩上 英一氏
糖尿病患者が発症しやすい目の合併症が糖尿病網膜症。重度になるまで自覚症状もなく進行しがちなため、気付いたときには手遅れとなり、失明に至るケースさえあるそうです。症状や治療法を専門医に聞きました。

 ■糖尿病網膜症の発症原因は。
 糖尿病の患者さんの血液はドロドロの多糖質で固まりやすいため、眼底の網膜の毛細血管が詰まったり、眼底出血が起きたりします。すると、血の流れが悪くなって網膜に必要な酸素・栄養素が不足し、それらを取り込もうと本来はなかった新生血管が発生します。この、もろくて破れやすい新生血管の破裂が糖尿病網膜症の原因となります。

 ■どんな症状が出るのですか。
 症状は大まかに初期、中期、末期に分かれます。初期は毛細血管が詰まって眼底出血が起きる段階。中期には血の巡りが悪くなって血管の異常が発生します。この病気の怖さは初期〜末期を通じて痛みがなく、自覚症状なしに進行しがちなこと。末期になると、新生血管が眼球内部の硝子体に伸びるように発生します。それが出血すると、視力が低下して黒い虫のようなものが動いて見える飛蚊症が発症したり、網膜剥離を引き起こす増殖膜が出現したりします。この増殖膜が目の中の水を排出する隅角をつぶすと眼圧が上昇し、新生血管緑内障を引き起こすのです。こうした網膜剥離や新生血管緑内障が進行して失明に至るというわけです。現在、糖尿病網膜症は緑内障に次いで失明原因の2位となっています。

 ■発病の察知方法はありますか。
 初期の段階で察知できれば、血糖値を低下させる血糖コントロールを行います。中期以降ではレーザー治療を施します。網膜にレーザーを照射することで、酸素・栄養素を必要とする新生血管の発生を防ぐのです。ただし、この治療で糖尿病網膜症が完治するわけではなく、進行を阻止するだけにとどまります。最近、新生血管の発生を抑制する薬が開発され、発生の勢いが強いケースなどではこれを注射で投与することもありますが、主流はレーザー治療です。末期の症状で硝子体出血や網膜剥離が起きた場合は硝子体手術を施すことになり、出血の吸引、はがれた網膜の復元などを行います。

 ■糖尿病網膜症を防ぐ方法は。
 まず、罹患の前提条件となる糖尿病にかからないことです。もし、糖尿病を発症したら、血糖コントロールで低い血糖値を保つようにします。その間、年に1〜2回、定期的に眼科の検査を受け、自分の目の状態をしっかり把握しておくようにしましょう。



 
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