くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科編

2014/10/10掲載
 
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妊婦が気を付けたい、緊急性の高い病気 胎盤の異常「常位胎盤早期剥離」
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
産科疾患の中で、深刻で緊急性の高い病気とされる「常位胎盤早期剥離」。発症すると、母子ともに危険な状態となる可能性があり、妊婦が気を付けたい病気のひとつなのだそう。症状など詳しく聞きました。

 ■「常位胎盤早期剥離」とはどのような病気ですか?
 胎児がまだ子宮内にいるうちに、胎盤が子宮の壁からはがれる病気です。子宮内は羊水で満たされているため、赤ちゃんは酸素を取り入れて二酸化炭素を排出するという呼吸活動ができません。しかし、人間にとって酸素が必要であることは大人も胎児も一緒です。そのため、胎児はへその緒を通じて胎盤から酸素を取り入れています。つまり、胎盤、へその緒、胎児という酸素の流れは、胎児にとって命綱なのです。

 ■胎児に与える影響について、詳しく教えてください。
 胎盤がはがれてしまえば、その部分を通じての酸素供給がストップします。はがれた部分の面積に応じて酸素供給は減少するため、胎児は酸素不足に陥ります。極端な例ですが、胎盤が全てはがれれば、酸素供給はゼロになるのです。赤ちゃんが受けるダメージは酸素供給の減少の程度によって異なりますが、最悪の場合は子宮の中で亡くなります。命が助かったとしても、脳にダメージを受け、後遺症が残る赤ちゃんもいます。また、母体にも悪影響を及ぼすことがあります。胎盤がはがれると出血を伴いますが、それが大量となればショック状態を起こします。はがれた胎盤から異常物質が発生し、母体の血液中に入り込むことで血液異常を来すこともあります。その異常が重症化すれば、母体の命に関わってきます。このように、赤ちゃんや母体に深刻な影響を及ぼすことから、常位胎盤早期剥離は産婦人科医が最も警戒する病気といえます。

 ■どれくらいの確率で発症するのでしょうか?
 この病気は、妊婦さんの100〜200人に1人の割合で発生します。決して少なくない頻度です。血圧の高い妊婦さんが多く発生する傾向にありますが、交通事故などの腹部打撲でも発生し得ます。治療は多くの場合、緊急帝王切開を行います。胎盤から酸素をもらえなくなった赤ちゃんは、自分の肺で酸素を取り入れなければなりません。そのためには緊急の出産が必要で、一刻を争う処置が求められます。

 ■妊婦が気を付けるべきことを教えてください。
 妊婦さんができる対策としては、早く症状に気付き、病院に連絡することです。(1)お腹が張る、お腹が痛い(2)出血した(3)赤ちゃんの動きが少なくなってきた―。このような症状が現れたら、早急にかかりつけの産婦人科に連絡してください。



 
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