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陣痛の痛みを和らげる「無痛分娩」 お産を妨げない麻酔量の調整が重要 |
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慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務 |
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「お産は痛い」というイメージから、経産婦であっても、お産に恐怖心を抱いている女性は少なくないそうです。そこで、「無痛分娩」について詳しく話を聞きました。 |
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麻酔や鎮痛剤を使用して、陣痛の痛みを和らげる分娩法です。最近多く用いられているのは「硬膜外無痛分娩」で、これは腰に細いチューブを挿入し、そこから麻酔薬を注入します。下半身の感覚を伝える神経に麻酔薬が効いてくるので、陣痛による痛みが軽くなったり消失したりします。 |
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■麻酔注入後、体にどのような変化が現れるのでしょうか? |
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麻酔薬を注入すると、10〜15分後には下半身の感覚が鈍くなってきます。足や下腹部の皮膚が厚くなったような感覚になり、つまんでも痛みを感じません。さらに麻酔が効いてくると、足が動かしにくくなり、しびれてきます。ただ、おへそから上の感覚には影響しないので、いつも通りに腕を動かすこともできます。お産後、赤ちゃんを抱っこすることもできるのです。麻酔と聞くと、眠った状態を想像する人もいるかと思いますが、意識ははっきりとしていて会話もできます。 |
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そのようなご質問は、多いですね。無痛分娩であっても、実際のところ「一部始終痛みがない」というわけではありません。麻酔注入後、1時間ほどは痛みを感じませんが、その後は麻酔が切れて痛みの感覚が戻ってきます。そのため、妊婦さんの様子を見ながら、麻酔薬を追加して痛みを和らげ、これらを繰り返しながら、赤ちゃんが出てくるのを待つのです。麻酔薬の量を増やせば全く痛みを感じなくなるのですが、それでは陣痛が弱くなってしまい、お産が進行しません。そのため、お産の進行を妨げず、かつ痛みが強くならないように麻酔薬の量を調節することが重要になってきます。 |
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経産婦さんは、麻酔薬を多めに使っても分娩が比較的順調に進みます。その結果、「1回目は自然分娩だったけれど、その時とは全く違って痛みが楽だった」という感想を多くいただきます。一方で、初産の場合は麻酔薬を少なめに使わなければお産が滞ります。「無痛分娩なのに痛かった」という感想が多いのは、初産婦さんです。無痛分娩がどのくらい陣痛の痛みやストレスを和らげてくれるかについては、個人差があります。そのため、無痛分娩を受けられる際には、事前に説明会に参加するなどして、理解を深めていただくことをおすすめします。 |
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