|
|
出産の痛みを和らげる無痛分娩 費用は自然分娩に1万円〜20万円程度の加算 |
|
|
|
|
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務 |
|
|
陣痛やお産時の痛みを和らげる「無痛分娩」。関心はあるものの、お腹の赤ちゃんへの影響や費用などを考えると、なかなか決断できない…。そんな妊婦さんは少なくないそうです。詳しく話を聞きました。 |
|
お産の際に、麻酔を用いて陣痛の痛みをなくしたり、和らげたりする方法を無痛分娩と呼びます。これは「和痛分娩」「減痛分娩」「麻酔分娩」と呼ばれることもありますが、基本的には同じ内容を指します。無痛分娩の方法として、以前はガス麻酔、点滴による鎮痛剤などが使用されていましたが、最近では「硬膜外麻酔」と呼ばれる方法が主流になっています。細いチューブを背中に挿入する方法で、このチューブに麻酔薬を注入すると10〜15分後には陣痛の痛みが和らいできます。 |
|
|
|
まず問題ありません。ガス麻酔や精神安定剤などを用いた無痛分娩が主流だったころは、お腹の中の赤ちゃんにまで麻酔が回ってしまい、元気のない赤ちゃんが生まれることもあったそうです。しかし「硬膜外無痛分娩」の場合、赤ちゃんに届く麻酔薬の量はごくわずかです。影響があるとすれば、母体の血圧が低くなった時の胎児徐脈で、一時的に赤ちゃんの心拍数が低下する可能性があります。しかし、お母さんの血圧の回復とともに心拍数も回復します。 |
|
|
|
無痛分娩の場合、チューブや麻酔薬などが必要となります。また、血圧モニターや心電図モニターでの監視も要し、自然分娩と比べて人手も必要です。風邪などの病気では健康保険が適用されますので、多くの方の医療費は3割負担で済みますが、分娩では健康保険が適用されません。そのため、分娩に伴う費用はすべて自己負担になります。費用については、病院によってさまざまです。私が把握している限りでは、自然分娩と比べると、1万円〜20万円程度の加算があるようです。この費用設定には、病院それぞれの考え方が反映されていますので、いくらが適正なのかという基準はありません。そのため、各病院の方針や考えをしっかり把握した上で、判断されることをおすすめします。 |
|
|
|
痛分娩がどのくらい陣痛のストレスを和らげてくれるかについては、個人差があります。例えば赤ちゃんが大きい場合、麻酔薬が陣痛を弱めてお産の進行を妨げてしまう可能性があるため、麻酔薬の量を減らすこともあります。麻酔薬を少なくすれば、痛みを感じる可能性も出てくるわけです。無痛分娩は、一律に痛みが消えるものではないことを、ご理解いただきたいと思います。 |
|
|
|
|
|
|
|