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婦人編

2012/8/3掲載
 
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自覚症状が現れにくい卵巣腫瘍 早期発見のため年1度の検診を
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
妊娠・出産に関わる大切な卵巣。これに異常が現れると、妊娠に障がいが出るばかりでなく、体のばらんすまで崩れてしまうことに…。そこで、気になる卵巣腫瘍(しゅよう)について、詳しく話を聞きました。

 ■卵巣腫瘍について教えてください。
 卵巣は、子宮の左右に1個ずつ付いていて、ほるもんを産生したり、妊娠に必要な卵子を作ったりします。卵巣腫瘍は比較的若い人でも発症すると言われ、女性の全生涯のうち、5〜7%の確率で発生するというでーたもあります。意外に多く見られるものなのです。また、卵巣では多種類の腫瘍が発生し、人間の臓器から発生する腫瘍としては最も種類が多いと言われています。その中には良性の腫瘍もありますし、悪性腫瘍、つまりがんもあります。

 ■腫瘍ができると、どのような症状が現れるのでしょうか?
 正常の卵巣は親指の先くらいの大きさなのですが、腫瘍が大きくなると直径が20p以上にもなります。その結果、卵巣腫瘍がお腹の中を占拠してしまうほどに腫れ上がる方もいらっしゃいます。ただ不思議なことに、そこまで大きくなっても症状が出にくく、「お腹周りが大きくなった」「太ってきた」しかおっしゃらない患者さんもいらっしゃいます。病院で受診した結果、お腹の中いっぱいの卵巣腫瘍が見つかってびっくりなさいます。それほど、卵巣腫瘍は自覚症状がなく、発見も遅くなりがちです。腫瘍が悪性の場合には、症状のないままに進行していることが多く、発見の遅れは、患者さんに深刻な影響を及ぼします。このことから、卵巣がんは「さいれんときらー(静かな殺人者)」とも呼ばれます。

 ■では、痛みもないのですか?
 人によっては、急激な下腹部痛が発生することがあります。これは卵巣腫瘍がお腹の中で回転してしまい、付け根でねじれることによる痛みです。この現象を「茎捻転(けいねんてん)」と呼びます。中には、下腹部に激痛が走り、救急車で運ばれる方もいらっしゃいます。そのような方は緊急の手術が必要です。卵巣腫瘍は、がんの進行や茎捻転など、体に深刻な影響を及ぼすことがあるため、早期発見が重要です。

 ■詳しく教えてください。
 卵巣腫瘍が発生していないかを確認する手段としては、超音波検査が主になります。数分間で済む検査で、痛みもほとんどありません。そのほかに、腫瘍まーかーと呼ばれる血液中の異常を示す物質をちぇっくすることもあります。卵巣腫瘍はあまり知られていませんが、実は珍しくない病気です。症状が出にくい病気を早い段階で発見するために、このような検査を1年に1度受診されることをお勧めします。



 
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