くまにち メディカルインタビュー
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整形外科編

2012/3/2掲載
 
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内視鏡による椎間板ヘルニア摘出手術 痛みや出血を軽減し早期の社会復帰を可能に
 
成尾整形外科病院 医師
篠原 道雄氏
現役世代に多く発症し、痛みやしびれなどで日常生活に支障をきたすこともある椎間板ヘルニア。従来の手術に比べて痛みが少なく、早期の社会復帰も可能とされる、内視鏡を使った手術について聞きました。

 ■椎間板ヘルニアとは、どんな病気ですか?
 椎間板は脊(せき)柱を形成する椎骨と椎骨の間で、背骨をつなぐクッションの役割を果たしています。椎間板はゼリー状の髄核と線維輪という組織で構成され、加齢とともに線維輪の弾力が低下していきます。そこへ無理な力が加わると、線維輪が破れて髄核が後方の脊柱管に飛び出し、神経を圧迫します。これが椎間板ヘルニアです。

 ■加齢が原因となるのですか?
 いいえ。むしろ、生活環境や労働環境が影響します。デスクワークや車の運転など長時間、同一姿勢を保持したり、重い物を持つ作業などが原因となります。また、喫煙が椎間板の変性を促進することも知られています。女性より男性にやや多く、椎間板が傷み始める20〜40歳代で多く発症します。

 ■どんな症状が出るのですか?
 たとえ椎間板が突出していても、症状がなければ多くの場合、問題はありません。しかし、その部分に炎症が起こると、腰やお尻の痛み、足先に走る痛み、しびれなどが現れてきます。さらに進行すると、運動まひが出て足に力が入らなくなったり、排尿や排便に異常をきたす状態になることもあります。

 ■治療はどうなりますか?
 まずは安静に努めることが大事で、活動時にはコルセットの使用を勧めることもあります。次に、薬で痛みを止めたり炎症を治したりします。薬で症状が改善しない場合は、麻酔剤と炎症を抑える薬を神経の知覚に注射する神経ブロックを行います。これらの保存的治療でも改善しない場合は、手術を考慮します。

 ■手術について教えてください。
 従来の手術は、大きく切開して筋肉を剥(はく)離し、骨を削るため、患者さんの苦痛が大きく、術後の安静期間も必要でした。しかし、最近ではMED法(内視鏡下ヘルニア摘出術)という低侵襲の手術により、切開は約18oで済みます。筋肉をはがすこともほとんどなく、術後の痛みが軽い、出血が少ない、回復が早い、感染症の危険性が小さい、傷跡が目立たないなどのメリットがあります。手術時間は約1時間。午前中の手術なら午後には歩ける人もいます。入院期間は通常3〜4週間で、早期の社会復帰を望まれる場合は10日程度での退院も可能です。手術はモニター画面を見ながら器具を操作する高度な手術となるため、詳しくは医師までご相談ください。



 
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