くまにち メディカルインタビュー
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婦人科編

2010/11/12掲載
 
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女性特有の病気「骨盤臓器脱」 子宮摘出後、膣が下がってしまうことも
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
あまり耳にすることのない「骨盤臓器脱」という病気。実際には、多くの女性が悩まされているそうです。症状や治療法について、詳しく聞きました。

 ■「骨盤臓器脱」について教えて下さい。
 子宮や腟、ぼうこう、直腸などが下がってくる病気の総称です。症状は「股に何か挟まった感じがする」「腟に何か触れる」など。腟や子宮が下がってくる感じを訴えて、病院にいらっしゃいます。最近では“子宮脱

 ■命にかかわる病気ですか?
 悪化すると、出てきた腟がこすれて痛みを生じたり、腟が傷付き出血したりします。尿もれや頻尿などの症状を伴うこともあります。命にかかわる病気ではありませんが、症状による不快感が強いあまり、気分が落ち込み、外出がおっくうになる方もいらっしゃいます。

 ■子宮の病気から生じるのでしょうか?
 子宮の病気ではなく、子宮や腟を支えている筋肉・靱帯が弱くなり、緩んでしまうのが原因です。中には、40歳代で子宮筋腫のために子宮を摘出した方が、60歳になって腟脱出を来すこともあります。「子宮を取ってしまったから、腟が下がってきたのでは?」と心配されたりもしますが、子宮摘出と腟脱出には直接の関係はありません。原因としては、お産で赤ちゃんが腟を通る時に腟や周囲の筋肉・靱帯が傷付き、さらにお腹に力がかかる仕事や家事で、これらの筋肉や靱帯が弱くなっていたと考えられます。

 ■治療法はありますか?
 治療には、ペッサリーと呼ばれる器具を腟内に挿入する方法と、手術があります。最近では、手術を受けられる方が多いですね。従来、手術での治療は、緩んだ腟を縫い縮める方法が主流でした。しかし最近では、メッシュと呼ばれる補強材を用いる手術法が開発されました。弱くなった筋肉や靱帯の代わりにメッシュを挿入して腟が下がってこないように支える方法です。この手術の利点は@手術後の再発率が少ないA体への負担が少ないので、退院が早いB性生活への支障が少ない、などが挙げられます。今年4月には健康保険の適用が認められました。

 ■利点が多い治療法なのですね。
 そうですね。メッシュ手術で腟が下がらなくなると、その効果は術後2〜3日で実感できます。手術を受けた方からも「挟まった感じがなくなり、すっきりした」との声が多く聞かれ、メッシュ手術は今後普及が進む手術法と思われます。



 
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