くまにち メディカルインタビュー
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乳腺外科編

2010/9/24掲載
 
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乳がん対策は定期検診と自己検診で 早期発見で治療も心身の負担も軽く
 
むらたクリニック
村田和哉氏
医学博士
熊本大学医学部卒業
熊本大学医学部大学院博士課程修了
日本外科学会認定外科専門医
日本でも、すっかり定着したピンクリボン運動。乳がんは、何より早期発見が大切とされています。検診の重要性と治療法について聞きました。

 ■乳がん検診の大切さが多くの人に知られるようになりましたね。
 国が実施した「女性特有のがん検診推進事業」によって、各市町村から対象年齢の人に無料クーポン券が支給されたこともあり、熊本県では30%前後まで受診率が向上しました。この数字がさらに上がることで、より多くの命が助けられることになります。

 ■乳がん治療後、社会復帰している人も多く見かけますが。
 検診技術や治療法の進化によって、早期発見の乳がんは日本では90%以上の治癒率となっており、決して怖い病気ではありません。とはいえ、がんとの闘いは患者さんには大きな負担です。自治体の定期検診はもちろん、自己検診でも、しこりや異常があれば、すぐに専門医を受診してください。ほとんどは、がんではないことが多いのですが、自己判断で放置せず、きちんと検査することが大事です。検査はマンモグラフィーや超音波で行いますが、検査後は、「意外と手軽ですね」と検診に前向きになる人も多いですよ。

 ■乳がんが見つかった場合は?
 2p以内の早期発見なら、必要最小限の部分切除による乳房温存手術が可能です。審美的にも配慮し、傷跡が目立たないよう工夫できます。また、2p以上の大きさや複数のがんが多発している場合でも、術前化学療法で半年ほど抗がん剤を投与。がんを小さくして手術するので、温存手術が可能です。なかには、抗がん剤が非常に効いて、多発していたがんや転移病巣までが消滅する「完全奏効」というケースもあり、その場合は患部を組織検査程度に小さく切除して確認します。完全奏効では再発率が低いというデータもあり、早期発見ではなかったからといって、決して悲観することはありません。

 ■術後の治療はどうなりますか?
 がんのタイプや患者さんの年齢などで治療法は異なりますが、内分泌(ホルモン)療法が行われることが多く、内服薬を1日1回、5〜10年ほど服用します。脱毛などが起こる化学療法に比べ副作用は軽くて済みます。ただ現在では、がんに対するさまざまな情報があふれており、いろんな民間療法や健康食品に頼る人も少なくありません。不安感が強い人には心療内科も紹介できますので、遠慮なく主治医に相談してください。また、肥満、飲酒、喫煙は再発のリスクを高めるので要注意です。患者さんが前向きに過ごせるよう、家族や周囲の人の配慮も大切ですね。



 
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