くまにち メディカルインタビュー
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大腸・肛門科最前線 大腸がん

2009/6/27掲載
 
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自然肛門の温存が可能な直腸がん手術
 
高野病院 院長
山田 一隆氏
近年、著しい増加がみられる大腸がん。特に、直腸がんで人工肛門をつくった場合、日常のケアや生活の質の低下が問題でした。自然肛門を温存する最新の手術法について聞きました。

 ■大腸がんは増えているのですか。
 かつて日本人に最も多いがんは胃がんでしたが、食生活の欧米化など生活習慣の変化により大腸がんが増加しています。日本の大腸がんの死亡率は50年前に比べて男性で約7・3倍、女性で約5・9倍に増え、部位別のがん患者数の推移でも約6年後には男女ともに大腸がんが1位になると予想されています。

 ■症状と大腸がん検診について教えてください。
 大腸がんの主な症状は出撃ナす。そのほかにも、便が細くなる、便が出にくいなどの排便障害や、便意の回数が多くなる、おなかが張るなどの症状があれば大腸がんが疑われます。大腸がん検診は便を2日間、少量取るだけの「便潜血検査」で費用も安価です。この検診法は早期発見と死亡率の減少に非常に効果的で、厚生労働省の評価でも検診の有効性が国内唯一の最高グレードAとなっています。

 ■検診で大腸がんが疑われたら?
 精密検査で全結腸内視鏡検査と注腸X線造影検査を行います。しかし、検査がきつい、内視鏡の挿入が困難な場合は腹部CTによる大腸検査(CT・コロノグラフィー)でできます。この検査は、時間が短く体への負担が少ない検査法です。

 ■治療はどうなりますか。
 外科療法、化学療法(抗がん剤)、放射線療法などがありますが、治療の第一の目的は完治と考えますので手術が主になります。早期がんの多くは内視鏡で切除でき、結腸や直腸上部のがんには腹腔鏡手術が多く行われます。開腹手術に比べて術後の痛みが少なく回復も早い点が最大のメリットで、入院期間も以前は約1カ月を要しましたが、現在では10日から2週間ほどに短縮することが可能になりました。

 ■最近では人工肛門をつくらずに済む手術もあるそうですが。
 肛門に近い下部直腸がんは従来、直腸切断術を行って腹部に人工肛門を設けていたため、生活の質の低下に加え、排尿・性機能障害などをともなうことも問題でした。しかし、自然肛門を温存し(自然肛門温存手術)、直腸周辺の自律神経も残す最新の手術法(自律神経温存手術)により、患者さんの生活の質が飛躍的に改善できるようになりました。大腸がんは、何より定期検診による早期発見が望まれますが、たとえ転移や再発があった場合でも、手術が可能なことも多いのです。決してあきらめず専門医とよく相談して、ご自分にとって最善の治療を選択してください。



 
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