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婦人科最前線 骨盤臓器脱

2009/8/8掲載
 
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メッシュ手術のプラス面、マイナス面
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
分娩や加齢、力仕事などが原因で引き起こす「骨盤臓器脱」。意外に悩んでいる女性が多いそうです。従来の手術法に加えて、最近ではメッシュ手術という新たな手術法も取り入れられつつあります。新しい方法だけに不安な方も多いのではないでしょうか。そこで、プラス面やマイナス面について伺いました。

 ■骨盤臓器脱とはどのような病気でしょうか?
 骨盤臓器脱については、昨年11月のすぱいす紙面でお話ししました。子宮や腟、膀胱、直腸が下がってくる病気の総称です。腟や子宮の下がってくる感じを訴えて病院においでになります。これまでは、腟の中に臓器を支えるためのリングを入れたり、子宮を摘出した上で腟を縫い縮める方法がとられてきました。これらの治療法は産婦人科医が長い歴史にわたって開発してきた方法で、優れた点も少なくありません。私自身も患者さん方にこれらの治療を行っていますが、それぞれに喜んでいただいています。最近、骨盤臓器脱の治療にメッシュ手術が導入されるようになりました。

 ■詳しく教えてください。
 これは人工的に合成された、人体に影響のない網を腟壁に縫いつける手術です。骨盤臓器脱は、ヘルニア、つまり外科の脱腸のような病気です。脱腸はお腹の壁が弱くなって腸が出てくる病気で、外科ではこの弱くなったお腹の壁に人工的な網を縫いつけて壁を補強していきます。骨盤臓器脱にこれを用いたのが、メッシュ手術です。この手術はTVM(tension‐free vaginal mesh)手術と呼ばれ、2000年にフランスの医師チームが開発したものです。日本では2005年から導入され、現在までに国内で約1万人の方がこの手術を受けられています。患者さんにとって有益な点が少なくないため、今後広まっていくと思われますが、現時点では一部の病院でしか行われていません。

 ■TVM手術のプラス面、マイナス面について教えてください。
 プラス面は子宮が残せること。性生活が可能なこと。再発率が低いこと。手術後の痛みが従来法に比べて少ないため、退院が早いことなどが挙げられます。マイナス面としては、今後、分娩希望の方にTVM手術はできないことです。また、術後の尿失禁の発生が従来法に比べて高いため、TVM手術後に尿失禁の手術を追加しなければならないことがあります。一旦下がってきた膣には、骨盤体操や内服薬だけでは対処できないことが少なくありません。このような場合にはペッサリー、TVM手術、従来法の手術の良い点を総合的に検討して治療法を選択することになります。



 
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