くまにち メディカルインタビュー
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がん治療最前線 前立腺がん

2009/5/23掲載
 
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痛みを軽減、回復が早い腹腔鏡手術
 
済生会熊本病院 腎・泌尿器センター部長
町田 二郎氏
これまでは“高齢男性の病気”という印象が強かった前立腺がん。しかし、最近は現役世代でも増加しているそうです。患者の体への負担が軽く、入院期間も短縮できる腹腔鏡(ふくくうきょう)手術について聞きました。

 ■前立腺がんは高齢男性の病気というイメージがありますが…。
 従来は確かに高齢者に多い病気でした。しかし、過去10年ほどで徐々に50歳代での発病が増えており、前立腺がんの低年齢化は世界的な傾向だと指摘されています。前立腺がんは進行が遅いことが特徴ですが、若年世代では“悪性度”が高い、つまり、がんの進行や転移が速いケースが増えている点も要注意です。

 ■前立腺がんの原因と症状は?
 男性ホルモンが前立腺に対して悪影響を及ぼすためとされますが、高タンパク・高脂肪の食事、父親に前立腺がんがある、運動不足、性活動、車の排気ガスなど、さまざまな要因が考えられます。初期はほとんど自覚症状がなく、進行すると尿が出にくい、排尿時に痛みがある、トイレが近い、尿や精液に血が混じるなどの症状が見られます。ただ、これらの症状を加齢や前立腺肥大症が原因と思い放置している人も多いため、通常の定期検診や人間ドックの血液検査の際にはPSA(前立腺腫瘍マーカー)検査の追加をお勧めします。

 ■がんだった場合の治療法は?
 @外科療法A放射線療法B化学療法Cホルモン療法などがあります。@では開腹手術のほか、患者さんの体への負担が軽い腹腔鏡手術があります。Aでは正常組織を避けて、腫瘍の形に沿って照射したり、放射線の強弱を調整したりできるトモセラピーという治療装置が登場し、副作用が少ないとして注目されています。Bでは保険適用で効果の高い抗がん剤があります。Cは内服と注射による治療法です。

 ■腹腔鏡手術のメリットは?
 これまでの手術は腹部を大きく切開していましたが、腹腔鏡手術では腹部に0・5〜1・2p程度の小さな穴を複数開け、そこから腹腔鏡というカメラや手術器具を挿入して前立腺がんを摘出します。この手術には医師の熟練した技術と経験が必要ですが、傷が小さく手術の際の出血も少ないため、術後の痛みが少なく回復が早くなります。入院期間も開腹手術ならおよそ10日〜14日ですが、腹腔鏡手術だと5日ほどで済むため社会復帰も早くできます。

 ■患者さんに何かアドバイスは。
 前立腺がんは治癒率が約90%と高く、決して怖くない病気です。現在は各種メディアやインターネットなどで豊富な情報が得られますので、単に「医師にお任せ」とせず、自ら率直に希望を伝えて積極的に治療に参加していただきたいですね。



 
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