くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科編

2017/1/6掲載
 
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陣痛による痛みを軽減する「無痛分娩」 「計画分娩」は短所も理解した上で選択を
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
陣痛や出産時の痛みを和らげる「無痛分娩」。時期を決めて陣痛を促す「計画分娩」と併せて行うケースもあるようです。詳しく話を聞きました。

 ■「無痛分娩」とは。
 麻酔や鎮痛剤を使用して、陣痛による痛みを和らげる方法を無痛分娩といいます。多くの場合、硬膜外麻酔を使います。腰や背中に細いチューブを挿入し、そのチューブに麻酔薬を注入する方法です。注入後、5〜10分で陣痛の痛みが和らいできます。下半身の感覚は鈍くなりますが、上半身には影響がなく、意識もはっきりしています。

 ■「計画分娩」について教えてください。
 計画分娩とは、陣痛が自然に始まる前に陣痛促進剤と呼ばれる薬を使って陣痛を起こし、出産を促す分娩法です。例えば、血圧が異常に高い妊婦さんがいたとします。そのまま様子を見ていれば、妊婦さんにも赤ちゃんにもトラブルが発生することが心配されます。妊婦さんの高血圧を治療するのに最も効果的なのは、妊娠を終えることです。そこで、人工的に陣痛を起こして出産に持ち込むのです。これは医学的に必要な計画分娩ですが、それ以外の理由で、妊婦さん自身が計画分娩を希望するケースもあります。「夫の休みが取れる日にお産に臨みたい」「私と赤ちゃんが同じ誕生日になるようにしてもらいたい」などのほか、「痛みに弱いので、陣痛が来る前から麻酔を入れてもらって計画的に出産したい」という妊婦さんもいらっしゃいます。ただし、計画分娩にはマイナス面もあることを理解しておく必要があります。

 ■どのようなマイナス面があるのでしょうか。
 マイナス面として最も大きいのが、「陣痛促進剤が効かない」という現象です。ケースとしては少ないものの、陣痛促進剤を点滴しているのに、なかなか陣痛が来なくて結局退院する場合があります。期待していた分、妊婦さんはショックを受けられるでしょうし、入院費用も負担となります。また、陣痛促進剤でとりあえず陣痛が始まったものの、陣痛が弱く、お産の進行が遅くなることもあります。これに無痛分娩を併用して麻酔を施した場合、ますます分娩が進行しなくなります。無痛分娩の麻酔は、陣痛を弱める傾向があるためです。その際は、やむを得ず、一時的に麻酔を中止することがあります。しかし、麻酔を止めれば、陣痛のつらい時間が続くことになり、「無痛分娩を希望していたのに、こんなはずじゃなかった…」ということにもなりかねません。順調なお産の進行と無痛分娩を両立させるには、できるだけ陣痛が自然に始まるのを待って、分娩に臨みたいところです。なお、計画分娩と無痛分娩は自由診療です。よく考えた上で、選ばれることをおすすめします。



 
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