くまにち メディカルインタビュー
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歯科編

2016/12/30掲載
 
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歯周病が引き起こす動脈硬化や糖尿病 定期的な検診で歯の健康を維持して
 
添島歯科医院副院長
坂口 倫章氏
厚生労働省指定臨床研修指導医
日本歯周病学会認定歯周病専門医
歯を喪失する原因で一番多いのは、歯周病によるものです。歯を失っていくと、噛(か)み合わせの不具合から認知症の発症や転倒骨折のリスクが高まります。歯周病予防や歯を喪失した場合の治療法について聞きました。

 ■歯周病によって歯を喪失する人が多いと聞きます。
 40歳以上の約8割が歯周病に罹患(りかん)しているといわれる一方、歯周病がさまざまな病気に関連していることは、意外と知られていません。例えば、動脈硬化や糖尿病などを引き起こす危険性があるほか、肺炎、骨粗しょう症、肥満の悪化、妊婦の場合は低体重児出産につながることもあります。歯周病によって歯を失うと、おいしいものを食べられない、発音しづらいというだけでなく、嚥下(えんげ)機能も低下。また、歯の残存数と脳の働きや転倒骨折のリスクとの関係についても研究が進んでおり、歯が20本以上残っている人に比べ、歯がない人の認知症リスクは1・9倍、転倒骨折は2・5倍という数字が出ています。さらに、歯の残存数が少ない人ほど、記憶力や学習能力に関わる海馬や、意思・思考の機能に関係する前頭葉の容積が小さくなっていたとされる報告もあります。

 ■いかに自分の歯を失わずにいられるかは重要ですね。
 高齢社会の中、いかに自分の歯を失わずにいられるかによって、健康寿命や将来的な生活の質も変わってきます。歯の喪失を防ぐためにも、定期的な検診をお勧めします。最近は、歯周病の原因となる歯肉縁下のプラークや歯石、歯の表面にできる細菌の膜などを、超音波で痛みなく取り除く治療法も登場しています。

 ■歯を喪失した場合は、どのような治療法がありますか。
 装着が煩わしくないインプラントが一般的になってきましたが、体力や経済的負担などを総合的に考え、部分的な入れ歯とインプラントを組み合わせ、最大の効果を引き出す治療法が注目されています。この治療により、噛み合わせのバランスの良いハイブリッドな入れ歯が可能となり、よく噛めるだけでなく、頭痛や腰痛、全身症状が改善したという患者さんも多くいらっしゃいます。これがひいては、認知症や転倒骨折の予防にもつながるのです。まずは専門医と相談しながら、治療法を選ばれることをお勧めします。



 
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