くまにち メディカルインタビュー
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耳鼻いんこう科編

2015/10/30掲載
 
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乳幼児に起きやすい中耳炎 繰り返すと難聴の原因になることも
 
田崎橋耳鼻咽喉科会長 熊本東耳鼻咽喉科理事長
宮村健一郎氏
医学博士
子どもに多い中耳炎。細菌やウイルスによって炎症が起こる急性中耳炎と、中耳に滲出(しんしゅつ)液がたまることで発症する滲出性中耳炎について、症状や治療法を聞きました。

 ■中耳炎とはどんな病気ですか。
 鼓膜の内側の中耳と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。鼻風邪やアレルギー性鼻炎によって鼻・喉に付着した細菌やウイルスが、耳管を通って中耳に入り感染して起こるのが急性中耳炎です。そのほとんどは細菌感染によるものです。特に乳幼児は、大人に比べ耳管が太くて短く、機能も十分に発達していません。したがって、細菌やウイルスが侵入しやすく、抵抗力も弱いので発症しやすくなります。急性中耳炎を発症すると、耳の痛みや発熱を伴います。中耳の中に膿(うみ)や粘液がたまり、放置すると鼓膜が破れ、耳だれが出ることもあります。言葉で痛みを伝えられない赤ちゃんの場合、「機嫌が悪い」「急に泣き出す」「耳をよく触る」などが見られます。

 ■どのような治療になりますか。
 抗菌薬などの薬物療法が一般的です。膿がたまったままになっているときは切開をしますが、数日で自然にふさがるので心配はいりません。ただ、きちんと治療を完了しないと、慢性中耳炎や滲出性中耳炎に移行したり、難聴の原因になることもあるので、最後まで治療を終えることが大切です。

 ■急性中耳炎のほかに、どのような中耳炎がありますか。
 中耳に滲出液という分泌液がたまり、鼓膜の振動が悪くなって耳が聞こえにくくなる滲出性中耳炎があります。急性中耳炎のような痛みや発熱、耳鳴りなどがないため、気付くのが遅れたり、再発を繰り返したりすることが多い病気です。発症を見分けるポイントは、「子どもが声かけに反応しない」「聞き返しが多い」「テレビの音を大きくしたり、近づいて見たりする」などです。耳が詰まったような感じがないか尋ねてみて、気になる場合はすぐに専門医を受診しましょう。

 ■耳の聞こえが悪いと、言葉の発達にも影響があると聞きます。
 そうですね。3歳ぐらいまでは、耳から聞いて言葉を覚える大切な時期です。気付かず放置していると、言語の発達に影響が出てくることもあるので、根気強く治療を続けましょう。治療は、薬物療法のほか、鼻から空気を送り耳管の通りを良くする局所療法など、症状により異なります。重症になると、鼓膜を切開し中耳にたまっている分泌液を出すほか、再発を繰り返す場合は鼓膜チューブを入れる場合もあります。治療が長引くと、手術が必要な癒着性中耳炎に移行することもあるので、早めの受診を心掛けてください。



 
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