くまにち メディカルインタビュー
   HOME > 血管外科 インタビュー一覧> 血管外科 最前線
 
血管外科編

2015/2/20掲載
 
MENU
美容整形
美容皮膚
ダイエット
内科
心療内科
歯科
皮膚科
婦人科
肛門科
がん治療科
小児科
眼科
整形外科
耳鼻咽喉科
神経内科
泌尿器科
放射線科
循環器内科
医療福祉
消化器外科
形成外科
味覚障害
免疫治療
血管外科
精神科
脚の変色、むくみなど現れる下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
 
熊本セントラル病院 血管外科医長
野畑 一郎氏
日本外科認定学会外科専門医
妊産婦や立ち仕事の人に多いと言われる「下肢静脈瘤」。むくみやかゆみなどの不快な症状のほか、見た目の違和感に悩む人も多いそうです。予防や治療について専門医に聞きました。

 ■下肢静脈瘤とは。
 脚から心臓方向に向かって流れる静脈血の循環を助ける弁が壊れ、血液の循環が悪くなったり、逆流したりして起こる病気です。妊娠中や出産した女性、立ち仕事の方によく見られます。脚がだるい、重い、疲れやすい、痛い、かゆい、むくむ、寝ている時に脚がつるなどが主な症状です。また、目に見える症状として、脚の皮膚がこぶのように膨らむ、血管がクモの巣のように浮き出て見える、皮膚が黒ずむ、血管が茶色や紫色に変色するといった点が挙げられます。このような症状が出ても受診する診療科目に迷ったり、「年齢のせい」と思って放置したりしている患者さんも少なくありません。

 ■治療法を教えてください。
 症状を軽減するような飲み薬などはありませんが、症状の進行を止めるため、医療用の靴下で下肢に適度な圧力を与え、余分な血液がたまるのを改善する方法があります。根本的な治療としては、従来、膝下や脚の付け根にメスを入れて症状が出ている血管を取り除く方法がありましたが、レーザーや高周波で静脈を焼く「静脈焼灼(しょうしゃく)術」も一般的になってきました。静脈内にカテーテルを挿入する際の傷と、こぶになった血管を摘出するためにわずかに皮膚を切開する程度なので、傷痕が目立ちにくいというメリットがあります。特に高周波で焼く方法は痛みが少なく、施術時間も片脚30〜60分で済みます。治療後は、局所麻酔の影響のため車の運転はできませんが、日帰りでできるので時間的な負担も軽いといえます。

 ■予防はできますか。
 治療に使われる医療用の靴下で予防できます。また、同じ姿勢で長時間過ごさないことも大切です。立ち仕事の方は、1時間おきにふくらはぎの筋肉を使うことを意識しながらつま先立ちをしたり、脚を曲げたり伸ばしたりして、血液の停滞を防ぎましょう。デスクワークが中心の方も同様です。1時間に1回程度は姿勢を変えたり歩いたりするなど、脚を動かすよう意識します。多くの場合、命に関わるものではありませんが、まれに、深部静脈血栓症という病気が潜んでいる場合があります。とはいえ、「見た目が嫌」「スカートがはけない」など、精神的な負担を感じている女性も多く見受けられます。簡単な検査で特定できますので、気軽に血管外科にご相談ください。



 
無断転載は禁じます。
掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun
  (c) 熊本日日新聞社 〒860-8506 熊本市中央区世安1-5-1
くまにち.com トップページへ