くまにち メディカルインタビュー
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産婦人科編

2015/1/16掲載
 
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海外では珍しくない「無痛分娩」 陣痛に対するストレスや痛みを軽減
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
お産に対する恐怖心や苦痛感から、経産婦であっても、出産をためらう女性は少なくないそうです。そこで、「無痛分娩」について詳しく話を聞きました。

 ■お産の痛みはどのようなものなのでしょうか。
 陣痛は、軽い生理痛のような下腹部痛や腰痛から始まります。そして分娩が進行すると、お尻の痛み・腟の痛みが発生します。その痛みの程度には個人差がありますが、「鼻からスイカが出るような痛み」「お尻の穴からボーリングの玉が出るような痛み」などと表現されます。言葉だけではどのような痛みなのかピンときませんが、私が分娩後の患者さんに伺った感想の中には、「ハンマーで腰を砕かれるような感じ」といった声も聞かれました。やはり相当なストレスで、もしかすると男性であれば失神してしまうような痛みなのかもしれません。

 ■無痛分娩について教えてください。
 陣痛のストレスを和らげるのが無痛分娩です。硬膜外麻酔という麻酔法を用いる分娩法で、下半身の痛みを麻痺させます。具体的には、腰や背中に細いチューブを挿入し、そこから麻酔薬を注入します。およそ10〜15分で陣痛による痛みが軽くなったり消失したりします。そのため、陣痛のストレスが強い妊婦さんにとって無痛分娩は救いになるのです。麻酔注入後、下半身の感覚は鈍くなりますが、おなかから上の感覚には影響しないため、いつも通り腕を動かすことができ、お産後、赤ちゃんを抱っこすることもできます。「無痛分娩があったから、途中の休憩を入れながら頑張れました」「赤ちゃんが生まれる瞬間、かわいいと思える余裕を持てた」など、喜びの声も頂きます。

 ■無痛分娩を選択する方の割合は。
 日本で無痛分娩を選択される方は少数で、一説には約3%といわれています。一方、アメリカでは約50%、フランスは80〜90%と、多くの方が無痛分娩を受けていらっしゃいます。イギリスやドイツではそこまで普及していませんが、それでも約20%、アジアでは香港が約15%と、日本より普及しています。

 ■普及していない理由とは。
 日本では、「お腹を痛めて産まないと赤ちゃんに対する愛情が薄くなる」「陣痛の痛みに耐えてこそ、母親になる資格がある」「麻酔の副作用があるのでは?」といった考えがあり、その思想が無痛分娩の普及を妨げているのではないかと推測されます。しかし、陣痛に対して強いストレスや不安を感じている妊婦さんにとって、無痛分娩は助けになります。ご主人をはじめとする周囲の方は、妊婦さんのストレスを理解した上で、お産をサポート頂ければと思います。



 
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