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産婦人科編

2014/7/11掲載
 
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50歳以上の5%〜6%が発症 意外に多くの女性が悩む「骨盤臓器脱」
 
慈恵病院産婦人科医師
蓮田 健氏
九州大学医学部卒業
九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
あまり知られていない「骨盤臓器脱」という病気。性器の病気ということもあって、受診をためらっている人が大半なのだそうです。症状や治療法を詳しく聞きました。

 ■「骨盤臓器脱」とは、どのような病気ですか?
 子宮や腟、膀胱(ぼうこう)、腸などが下がり、腟口から脱出する病気を「骨盤臓器脱」といいます。以前は、「子宮脱」「腟脱」「膀胱脱」などと呼ばれていました。初めに表れる症状は、陰部に違和感が生じる程度です。しかし、進行すると、腟にテニスボールのようなものが挟まっている感覚が表れます。さらに症状が進むと、握りこぶしほどの肉の塊が、股にぶら下がるまで重症化する場合もあります。子宮や腟には、膀胱・直腸などの臓器が隣接しているため、「尿が出にくい、近い、漏れる」といった泌尿器症状や、便秘の症状を伴うケースもあります。

 ■発症の原因について、詳しく教えてください。
  骨盤内の臓器を支える「骨盤底筋群」という筋肉の衰えが原因で、特に60代以上の女性に多く見られます。これは、加齢によって筋力が弱まることや、お産によって「骨盤底筋群」が引き伸ばされ、ダメージを受けたことに関係しています。また、お腹に力が加わる作業を繰り返し行う人、呼吸器疾患により慢性的に咳をする人なども生じやすいといわれています。

 ■どれほどの女性が、これらの症状を持っているのですか?
 海外では、経腟分娩を経験した女性の10%〜30%に、骨盤臓器脱が見られるとの報告がありますが、日本ではこれまで、明らかではありませんでした。しかし、8500人の女性を対象に行われた最近のアンケート調査から、50歳以上の5%〜6%が「何か下がってきた感じがある」「股間に何かが挟まっている」などの症状を持っていることが分かりました。「骨盤臓器脱」は、今まであまり知られていない病名でしたが、上記のような症状で悩みを抱えている女性は、意外に多くいらっしゃるのです。

 ■治療法について、詳しく教えてください。
 軽症の場合は、「骨盤底筋肉体操」や「ペッサリー」というリング状の器具を腟の中に入れ、臓器のたるみを防ぐ方法があります。重症ならば、子宮の摘出や補強材の挿入などさまざまな手術法があり、進行度や体調によって、治療方針を決定します。いずれにしても、この病気は治療によって改善し、不快感を取り除くことができます。そのため、症状をお持ちの方は一人で抱え込まず、早めに産婦人科を受診し、相談されることをお勧めします。



 
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