くまにち メディカルインタビュー
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血管外科編

2013/2/1掲載
 
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妊婦や中高年に多い「下肢静脈瘤」 医療用ソックスで予防と症状改善
 
熊本セントラル病院 血管外科医長
野畑 一郎氏
日本外科認定学会外科専門医
妊婦や立ち仕事の人に多いと言われる「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」。命に関わることはないものの、日常生活に不便を感じる不快な症状や、見た目の違和感が気になり悩んでいる人も多いそうです。予防法や治療について専門医に聞きました。

 ■下肢静脈瘤とは。
 脚にある静脈は心臓方向に向かってだけ循環しなければなりませんので、循環を助けるために、血管内部にはたくさんの弁があります。下肢静脈瘤は、その弁が壊れてしまい、血液の循環が悪くなったり、逆流してしまうことで起こる病気です。妊娠中や出産した女性、立ち仕事の方などによく見られます。中高年の患者さんが多いのですが、「以前から悩んでいた」という声も少なくありません。主な症状は、脚がだるい、重い、疲れやすい、痛い、かゆい、寝ている時に脚がつるなど。また、目に見える症状として脚の皮膚がこぶのように膨らむ、血管がクモの巣のように浮き出て見える、血管の色が茶色や紫色に際立つ─などが挙げられます。診察では、超音波による検査を行い、症状が出ている血管を特定します。

 ■どんな治療が行われますか。
 症状を軽減するような飲み薬などはありませんが、脚に圧力をかける医療用の靴下をはくことで進行を止めたり、症状を改善することができます。むくみを防止するための市販の靴下などと同じ原理です。ただ、市販のものは医療用に比べ圧力が弱いため、病気の治療にはおすすめできません。また、逆に強すぎても良くないので、専門医を受診して正しいサイズの靴下をはくようにしましょう。患者さんの病気の状態によっては、症状が出ている血管を取り除く手術も行います。1〜3日ほど入院する程度のものです。

 ■予防はできますか。
 治療にも使われる医療用の靴下で予防できます。また、同じ姿勢で長時間過ごさないことも大切です。立ち仕事の方は、1時間おきにふくらはぎの筋肉を使うことを意識しながらつま先立ちをしたり、脚を曲げたり伸ばしたりして、血液の停滞を防ぎましょう。デスクワークが中心の方も同様です。1時間に1回程度は姿勢を変えたり、歩くなど、動かすことを意識しましょう。多くの場合、命に関わる病ではありませんが、深部静脈血栓症という病気が原因のこともあります。女性では見た目が嫌、スカートがはけないなど、精神的な負担を感じている方も多く見受けられます。また、どこの診療科目を受診してよいかわからない、という声もよく聞きます。簡単な検査で特定できますので、お悩みの方はお気軽に血管外科を受診してください。



 
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